2009年12月26日土曜日

日テレ「サプライズ」の女性専用車両特集

先日、日本テレビ系「サプライズ」(読売テレビ制作)で
「女性専用車両に怒る男性」が特集された。
このテーマは痴漢という性犯罪が絡むものなので
取り上げ方には慎重を期すべきだが、
果たして番組はどのような手法で作られたか、
メディア・リテラシーの観点から読み解いてみよう:



まず、女性専用車両反対派団体の会合を撮影し
参加者の主張をインタビュー。
ここまではわかる。
ところが、番組は
この団体が女性専用車両に強引に乗り込んだ様子を
映し出した上、
「男性が乗っても法律では罰せられない」と
画面いっぱいの大きなテロップで強調した。



鉄道会社によれば、女性専用車両は優先席等と同様、
乗客のマナーによって保たれるものである。
この演出では、番組が反社会的行為を煽っているように
受け取られても仕方がない。
公共の電波を使って、「お年寄りに席を譲らなくても
違法ではない」と言っているようなものだ。



しかも番組は
女性専用車両の賛成派の声を全く紹介しない。
女性は満員電車に乗ると
常に痴漢の存在にビクビクしなければならず、
だからこそ専用車両を選ぶわけだが、
番組は反対派の男性陣の一方的な言い分紹介に
偏っている。



VTR後のスタジオ部分では、
出演者の女性が自分も痴漢被害に遭ったことを
打ち明けると、
男性司会者が「自慢に聞こえる」と切り捨てた。
「女性は触られると喜ぶ」という思い込みは
古くから男性向け週刊誌やスポーツ紙で
流布され、痴漢加害者の罪悪感を薄めてきた。
番組は編集段階で上記やりとりをカットする
選択肢もあったはずだが、
そのまま放映したことで、この「思い込み」の強化に
加担してしまった。



さらに番組は、ナレーションを女性に担当させている。
この手法には、あたかも「女性一般」が
番組の主張に賛同しているかの印象を
見る者に与える効果がある。



結局のところ番組は
「女性専用車両に怒る男性」に
全面的に共感して制作されており、
作り手(演出もプロデューサーも男性)の
マッチョ文化が如実に表れた形だ。
犯罪に関わるテーマを扱うには
安易な作りだと言わざるを得ない。



ちなみに今月、痴漢被害対策として
JR東日本は一部の車両に
防犯カメラを試験設置することを決めた。
カナダのバンクーバーの電車には
壁に通報用のヒモがつたっていることは
以前ご紹介したが、
日本の電車にとっても一策であろう。



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☆バンクーバーオリンピック記念連載!
『30歳からの留学を成功させるコツ』
■第5回 「広告のカラクリ」



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「マッチョ文化」を詳しく知るなら……↓








オトナのメディア・リテラシー


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー












2009年12月22日火曜日

人権・差別週間で講演

Photo 今月4日から10日は人権週間。
この時期は全国各地から講演の依頼を頂くことが多い。



まずは三重県が主催するネットいじめ研修会。
県では地域住民を
子どもたちの「見守りボランティア」に育成しようと、
昨年ネットいじめに関する一連の講習を実施したという。
私はそれらのまとめとなる「ステップアップ研修」を
担当させて頂いた。
テキストとして、拙著『大人が知らない ネットいじめの真実』
参加者全員に配布された。



続いて愛媛県東予地方局が主催した
ネットいじめ講演。
こちらは「差別をなくする強調月間」に合わせたもの。
市町職員や教育関係者の方々にお話しさせて頂いた
(冒頭写真は愛媛新聞の記事)。



ラストは福島県郡山市主催の人権週間講演。
「メディア報道と人権」をテーマに、
『メディアに隠された意図を読み解く
 ~情報に惑わされず、真実を見抜くコツ』と題して語る。

「メディアから発信される記事等を、流されることなく
自ら冷静に判断する重要さを理解できた」
「これからは『発信者の意図』を考えながら
テレビ・新聞を見ていく」
などと多くの感想を頂いた。



他にも諸々あり、
最近は週に2回は飛行機か新幹線に
乗っていたのであった。
移動の友といえばビールとアレ……
というトークは先日のメルマガで!



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☆バンクーバーオリンピック記念連載!
『30歳からの留学を成功させるコツ』
■第4回 「カナダで寮に住むということ」



2009年12月12日土曜日

石川県の「携帯持たせない条例」を調査

石川県を訪れた。
「違法・有害サイト対策の国際比較調査」の関係である。



石川県は今年6月、
いしかわ子ども総合条例にて
「防犯など特別な場合を除き、
小中学生に携帯電話を持たせない」
ことを保護者の努力義務と定めた。
全国で初の試みだ。



今回の取材では、
県の関係部署の方々にお話を伺った。
この条例は、自民党会派が主導した議員提案だという。
県としては、「知る権利」や「教育権」の侵害への懸念も
抱いたが、最終的に議員の賛成多数で可決された。
以前から地元のPTA連合会でも
「携帯を持たせない」とする宣言文を出していたというから、
このような規制を受け入れる土壌はあったのだろう。
県民気質かも……と感じる私は金沢出身。



だが、携帯は「正しく」使えば楽しく便利な道具である。
家庭環境や友人関係に悩み、
携帯が唯一の「逃げ場」になっている子どももいる。
子どもたちから逃げ場を取り上げるなら、
大人がそれに代わるものを提供してやらねばならない。



大人たちは、子どもに規制を押し付けるだけでなく、
自らも変わる覚悟があるのだろうか?



「携帯持たせない条例」はいよいよ来月1日施行。
この条例に関する詳細な調査結果は
来年発行の論文にまとめる。



Photo


こちらは近江町市場の海鮮丼。
          これで1500円也。



2009年11月20日金曜日

いじめ自殺と「親の知る権利」とマスコミの温度

200911trimmed いじめ自殺事件の遺族などで構成される
NPO法人「ジェントルハートプロジェクト」が、
民主党の千葉景子議員に
「親の知る権利を求める要望書」を手渡した。
千葉氏は以前からこの問題に取り組む姿勢を示していた
今回、政治的な制約のもと
法務大臣としてではなく一議員として受け取ったとのことだが、
これを機に「知る権利」の確立へ向けた動きが
前進することを願う。



いじめで生徒が亡くなっても
学校側は、その子の日頃の様子や
クラスメートからのアンケート結果といった情報を、
遺族に知らせようとしない。
裁判で不利になることを怖れているのである。
詳しくは以前の記事を参照。



私は、この法人理事の小森美登里氏と
10年ほど前に知り合った。
当時、私が取材を担当した
ニュースステーションのいじめ自殺特集を見て、
小森氏が手紙をくれたのだ。
高一の娘をいじめ自殺で亡くしたばかりだった。



以降も、私はいじめ自殺事件の取材を続けている。
子どもを亡くした遺族が精神を侵され、
10年後には薬漬けになる現実を見てきた。

それにしても
いじめ自殺報道が相次いだ2年前の同会シンポジウムでは
会場を「メディア・スクラム」状態にしていた全キー局のカメラ、
今回は一台も見当たらなかった。



2009年11月9日月曜日

「児童ポルノ」新聞連載と「ネットいじめ」講演

西日本新聞に連載しているコラム
「ケータイ時代の子どもたち」。
今月7日(土)のテーマは
「児童ポルノの闇に落ちて」。



ある女性が、「着エロ」を機に
児童ポルノの世界に足を踏み入れ、
風俗の深みへとはまっていった実態を
ルポした。



女性たちがポルノに出演する理由は様々だ。
「自ら選んだ」場合でも、紐解いていけば
家庭での虐待や精神障害、貧困などの問題が
背景に潜んでいることがある。
性風俗産業は、甘い言葉で
彼女たちを搾取する。



一読したい方は
西日本新聞社にお問い合わせを。
21日掲載分では
「児童ポルノの現状と規制」について述べる。



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会津若松市で
「ネットいじめの真実と大人の役割」について
講演を行なった。
福島県教職員組合の主催。



年配の先生方はネットいじめについてよく知らず
生徒間トラブルへの対応に苦慮しておられたそうだが、
講演後に「内容がストンと頭の引き出しに入りました」
と言って頂いた。



私の講演では、ネットや携帯電話へのリテラシー対策に加え、
「いじめ被害者への誤解」や「加害者ケアの重要性」についても
お話している。
まずは、子どもの実態に向き合うことである。



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☆バンクーバーオリンピック記念連載!
『30歳からの留学を成功させるコツ』



第3回 「同性間結婚 ついに合法化へ」



第2回 「大学と授業の実態」












バンクーバーオリンピック記念!現地事情レポート

Photoバンクーバー五輪まで4ヵ月を切った。
バンクーバーといえば、私がかつて2年間留学し、
大変思い出深い土地である。



そこで五輪開催を記念し、現地レポート連載
『30歳からの留学を成功させるコツ』
を開始しよう。
バンクーバーの社会、暮らし、文化、留学など
リアルな情報をお伝えする。



もともとは2005年から2006年にかけ
アルクに掲載されたものだが、既に終了したため
現在は上記のサイトでしか読むことは出来ない。
私の留学時代のあどけない写真も載るかもしれません。



☆『30歳からの留学を成功させるコツ』
 第1回 「私がカナダを選んだ理由~そのイメージと現実」
      (バンクーバー五輪記念コインの写真付き)






冒頭画像は、早朝の明治神宮にて知人が発見した
「神の手のなせる技」。



2009年10月22日木曜日

韓国の違法・有害サイト対策

9月に欧米を訪問した
『有害サイトに対する情報モラル教育と規制のあり方の
国際比較』の調査。
今月は韓国へ行ってきた。
携帯電話会社(キャリア)や違法・有害情報の審議機関を取材。



韓国ではインターネット利用者の
住民登録番号がわかるようになっているため、
違法・有害サイトに対する年齢に応じた規制が可能だという。
日本で見られるアダルトコンテンツなどの年齢確認システムは
形骸化しているが、有効性を持たせるには
ここまで徹底するしかないのだろうか。
とはいえそんな韓国の住民登録番号制にも抜け道はあり、
色々とトラブルが発生しているようだ。



携帯電話の利用に関しても
世界的に進んでいるとされる韓国だが、
日本とは使い方が違う。
また、韓国に多い教育熱心な親へ向け、
某携帯キャリアは
子どもをネットの危険から守る特別サービスを提供している。
日本にはまだないサービスのため、提携したいそうだ。



今回の調査結果は、欧米の違法・有害サイト対策事情と合わせ
近く論文にまとめる予定である。
日本の違法・有害サイト対策へ新たな道筋を示したい。



****ところで、この記事の右側に
青い鳥が羽ばたいていることにお気づきだろうか?
そう、Twitterを始めたのであります。
あなたも登録&フォローしてみまっし。



2009年10月19日月曜日

メディアリテラシーとジェンダー講演

「メディアは真実を伝えているか
 ~女性が登場するときの作り手の意図を考える~」
とのテーマで、調布市男女共同参画推進課が主催する
講座の講師を務めた。



前半でメディア・リテラシーの基本的な理論をお話し、
後半では新聞記事や週刊誌の見出し、
CMなどの例を挙げながら
女性の描かれ方について解説した。
メディア・リテラシーの話とジェンダー分析の話が
セットになって凝縮された、
自分で言うのもアレだがお得な講座である。



主催者の方は2年前に
拙著『オトナのメディア・リテラシー』を読み、
以来ずっとこの講座の企画を温めていたという。
有難いことです。



参加したのは
若い母親から年配の女性まで様々。
幼い子どもがいるという母親の方は、
「CMや雑誌で見る母親はみな優しくて笑顔で、
自分もあんな風に完璧な母親にならねばと
焦っていた。でも現実は子どもにイライラすることも
あり、ダメな親だと落ち込んでいた。
きょうの話を聞いて、心が軽くなった」
と感想を述べておられた。



メディアが発信するジェンダー像は、
知らず知らずの内に
自分の価値観に取り込まれるのである。




メディアとジェンダーの関係を理解するには








オトナのメディア・リテラシー


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー





2009年10月7日水曜日

多様性と自閉症

慶応大学で秋学期の講義がスタートした。
私が担当するのは「メディア特殊講義」。
もちろん、メディアリテラシーを教える。



今学期はキーワードを「多様性」とした。
私たちが暮らす社会には、
人種、性別、障がい、セクシュアリティといった面で
様々な立場の人がいる。
大手メディアが発信する情報は基本的に
「主流派」の人々(日本人で健常者で異性愛者)へ向けたものだが、
多様性への意識が欠けた社会は「少数派」の人々を生き辛くさせる。
無知は偏見につながるからだ。



誰もが人間らしく伸び伸びと生きられる社会にするために、
メディアに何が出来るか? これを学生たちに考えてほしい。
そのような社会を実現することは、
私にとってのライフ・ワークでもある。



初回の講義では、私がテレビ局時代に制作したドキュメンタリー
『イルカが癒す自閉症』 を見てもらった。
自閉症の男児が、国内の水族館でイルカセラピーを受ける過程を
追ったものである。
自閉症は「生まれつき」の脳障害で、500人に1人程度の割合で
発生するとされる身近なものだ。
作品では、自閉症の子どもがどのような言動をし、
親はどんな思いでいるか、といったことを伝える。



なお最近、講演に行く先々で
私の過去の作品を見てみたい、とお声掛け頂くことが増えた。
上映会の企画を希望される団体には、
出来るだけご協力したいと思う。
上映対象の作品としては、「自閉症」の他に
「いじめと少年法」「報道と人権(メディア・リテラシー)」がある。
詳しくはこちら。



2009年10月6日火曜日

■上映会 (自閉症、いじめと少年法、報道と人権)

これまでに制作・出演したTVドキュメンタリー作品(VHS)の
上映+ミニ講演。



*上映会に関する お問い合わせ



講演歴





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●自閉症への理解を深める
 上映:『イルカが癒す自閉症』(15分)
 +
 ミニ講演: ・伝えたかったメッセージ
         -自閉症は親の責任ではない
         -自閉症児の姿と親の思い
        ・取材の裏側
         -{障がい}をテーマにする難しさ    
         -取材対象として依頼するにあたり
         -取材者の思い



----------------------------------------
●いじめと少年法を考える
 上映:『少年調書 ―16歳の自殺 遺族は何と闘ったか』
    (ANNテレメンタリー優秀賞、ラジオ版で民放連最優秀賞、30分)
 +
 ミニ講演: ・学校側の対応のあり方
        ・少年法の壁
        ・いじめ取材の裏側
        ・取材者の思い



----------------------------------------
●報道と人権 (メディア・リテラシー)
 上映:『伝えたこと、伝えられなかったこと 
       ―ある記者のいじめ報道の軌跡』(30分)
 +
 ミニ講演: ・犯罪被害者の人権
        ・いじめ報道のあり方
        ・取材される側がメディアに言いたいこと
        ・取材する側のメディア・リテラシーの重要性



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2009年9月15日火曜日

海外の違法・有害サイト対策

1




2週間にわたる海外調査から帰国した。
日本ではいつの間にか政権交代が現実のものとなっており、
テレビニュースに登場する顔ぶれもすっかり変わり、
浦島太郎状態である。



さて、今回の調査テーマは
『有害サイトに対する情報モラル教育と規制のあり方の国際比較』。
まずはフィンランドの教育省を訪問し、
教育プログラムの策定を担当する方に話を聞いた。
フィンランドでは、ネット規制よりも「使い方」の教育に力を入れているという。子どもの自主性や判断力を伸ばそうとしている。
この国が、国際的な学力テスト(PISA)でトップを維持する理由が
わかったような気がした。



1_2




また、フィンランド最大のSNSを運営する企業へも
インタビューを行なった。
日本でいうmixiのようなサイトだが、発生するトラブルには
日本とは異なる点もある。
有害情報に対しても、独自の策を取っている。
ちなみに広報のお兄さんはなぜかヒッピースタイル。



この他、イギリスでは違法・有害サイト対策に特化した政府機関、
カナダでは児童ポルノ対策の現状などを調査した。
今回の調査は某メディア系財団が助成する共同研究で、
成果は年度末に論文にまとめる予定である。
日本の有害サイト・児童ポルノ対策のあり方について、
新しい提言をすることになるだろう。



2009年8月29日土曜日

不在のお知らせ

8月29日~9月11日は
大学の海外調査のため不在です。
この間に頂くご連絡への返信は
遅れる場合があります。



ちなみに研究テーマは
『有害サイトに対する情報モラル教育と規制のあり方の国際比較』。
特に今回は、【性的】サイトや児童ポルノへの対策に注目!
フィンランドとイギリス、カナダを訪ねます。



2009年8月24日月曜日

「テレビとの付き合い方」コメント&メディア・リテラシー講演

Photo_2 発売中の「日経キッズプラス10月号」で、
テレビとの付き合い方についてコメントしている。





「ドラマの暴力シーンや人を殺す場面など、



子どもの心への影響が心配です」



「現実の残酷なニュースが、子どもの心に影響を



与えないか心配です」



・・・という保護者の悩みに答える形式だ。



興味のある方はご一読を。




また先週末は、
盛岡青年会議所が主催するイベントにて
メディア・リテラシーをテーマに講演した。

このイベントは「つなげる」がキーワード。
午前の部は「市民と情報をつなげる力」として
私が担当し、
午後の部は「人とひととをつなげる力」として

杉並区立和田中学校校長の藤原和博氏が務められた。



講演後は主催者の方のご案内で
盛岡名物、わんこそばを初体験。
最初は楽しむ余裕があったが
だんだん、次から次へとそばを注がれるのが
苦行に思えてくる・・・。



女性の平均は約40杯らしい。
私は、65杯食べました。
その後はしばらく身動き出来なかったが。
下記の写真は、貴重な(?)シャッターチャンスを
収めたものであります↓



Morioka_wankosoba




2009年8月16日日曜日

『ネットいじめの真実』が道徳副教材に

Photo_2



すっかりご無沙汰してしまった。
ここ最近は全国での講演が集中し、
さらに大学での研究や単行本の執筆が佳境に入っているのだ。
孫の手も借りたい日々である。いないけど。





ところで、
拙著『大人が知らない ネットいじめの真実』
『中学校編 とっておきの道徳授業』(日本標準刊)
引用された。
学校が、『ネットいじめの真実』を使って
「ネットいじめ防止」の授業を実践する様子が
紹介されている。
生徒たちはネットいじめの悪質さに気づき、
「やってはいけない」と考えるようになったという。
現在、発売中。



また、東京書籍から発売される
来年度用の道徳副教材にも
『ネットいじめの真実』が引用される予定なので、
興味がある教員の方はチェック頂きたい。



ちなみに、先日の講演で福岡を訪れた際、
西日本新聞社と打ち合わせを行なった。
私が連載中のコラム『ケータイ時代の子どもたち』が、
読者に大変好評なのだという。
「子どもの現状があのようになっているとは知らなかった」
と衝撃を受ける大人からの反響が多いらしい。
評判が良いのは嬉しいが、
子どもたちの辛さをレポートするのは私としても辛く、
複雑な思いである。


追伸:海外調査のため、9月はほとんど不在です。





2009年7月13日月曜日

「となりの芝生」とネットいじめ講演

TBSドラマ「となりの芝生」が始まった。
姑・泉ピン子が、同居する嫁・瀬戸朝香をいびる物語。
脚本はもちろん、橋田壽賀子氏である。
33年前に放送した同名のドラマを
現代風の脚本にアレンジして再び放送するというのだから、
嫁姑問題は永遠のテーマなのだ。橋田氏にとって。



私にはこのドラマは、
姑の酷いいびりに苦しめられる可哀想な嫁、
という体裁をとっておきながら
その実は、橋田氏による
「『理想の嫁』教育ドラマ」に思えてならない。



瀬戸朝香は、姑に対して
バカ丁寧なくらいの敬語を使う。
夫に対してまで敬語で話す (夫は妻にタメ口である)。
家の中を毎日のように拭き掃除し、テレビを見ている姑や
新聞を読んでいる夫にお茶を出す
(夫が家事をする場面は全くない)。
瀬戸は、家事や子育てにうるさく口を出す姑への不満を
唯一気が許せる相手である自分の母にぶちまけるのだが、
逆に「嫁とはそういうものよ。あんたが『未熟』なのよ」と
諌められてしまう。
夫も姑の肩を持ち、姑と仲良くできないのは
瀬戸が悪いからだと責め立てる。



まさに「嫁かくあるべし」という
大正生まれの橋田氏からのメッセージを
ひしひしと感じる。



極めつけは、瀬戸に
「私はこの家に嫁に来た身ですから
(お義母さま何なりと言いつけて下さい)」
という台詞を言わせること。

あのですね、女性が結婚したら夫の家の戸籍に入る
という制度は、明治時代の旧民法下のものだ。
現在の民法では、結婚は「家」同士によるものではなく、
2人の「個人」が新しく戸籍を作るものと定められている
(だから「入籍」という言い方も誤り)。
よって、女性は結婚したとしても
「夫の家へ嫁に行った」わけではないのだ。
もちろん男性も、長男であっても自分の家から出て、
妻と新しい戸籍を作ることになっている。



上記のような誤った台詞をドラマに盛り込むと、
あたかもそれが正しいかのような誤解を
視聴者に与える恐れがある。
実際未だに、「ウチの娘は○○家に嫁ぎまして」
といった言い方をする人は多い。
このような誤解を
メディアを通して世間に浸透させた「立役者」は、
橋田氏と細木数子氏であると私は考えている。



そうそう、このドラマの公式HPには
視聴者が家族への不満を書き込む掲示板があるが、
姑と夫に対する嫁の本音で埋まっておりますな。








メディアとジェンダーの問題を知るには↓








オトナのメディア・リテラシー 
第二部 「そもそも、言葉づかいを疑おう」


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー







ところで先日、
栃木県那須塩原市教育委員会主催の
講演会で、
「携帯・ネット犯罪の現状と大人の役割」について
お話した。
地元のPTAの方々などの問題意識が高いようで、
800人以上が参加された。

来週は1日おきに講演で全国各地へ飛ぶ、
尋常ならざるスケジュールである。
ローヤルゼリーのサプリメントを飲んで
頑張らせて頂きます。



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2009年6月26日金曜日

青年会議所でメディア・リテラシー講演

愛知県の半田青年会議所から、講演に招かれた。
「情報の鍵を握れ!~今こそ真実を見極めるとき~」
題された会である。



メディアから発信される情報の
読み解き方のコツを、
身近な例を交えながらお話した。



最近、複数の青年会議所から
このテーマに関する講演依頼を頂く。
(財)日本生産性本部にて
話をしたこともあり、
どうやら経営者の方々も
メディアに流されない目を持ちたいと
思っているようだ。



引いてはそれが、
自身のビジネスのメディア戦略へと
つながるのだろう。





全く関係ないが、
『キャッチコピー診断』というサイトを
ご存知だろうか。
あなたのキャッチコピーを考えてくれるのだ。
これが、妙に当たっている。
私のキャッチコピーは・・・・・・?前回のメルマガ末尾で!





 



メディアを読み解くには↓








オトナのメディア・リテラシー


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー





2009年6月20日土曜日

「広告リテラシーとジェンダー」で講演

東京都の大田区立男女平等推進センターが
主催するセミナーにて、講演を行なった。
「心を軽くする女性学講座」と名付けられた
20代~40代の育児中の女性向けセミナーで、
「ジェンダーに敏感な視点を養う」ことが趣旨だという。



私は、広告に潜むジェンダー表現の読み解き方について
お話をさせて頂いた。
最近、「他所での講演の評判を聞きまして」
と依頼を頂くことが多い。恐れ多いことである。



参加した母親たちからは
広告に関する様々な疑問や不満の声が上がった。
例えば、オムツの広告。
赤ちゃんと共に登場するのは常に母親で、
ゆったりと微笑みながらオムツを替えている
(例外は少し前の照英ぐらいか)。



参加者によると、現実のオムツ替えは
バタバタと慌しく、とてもあんな優雅なものではない。
「ああいうCMばかりが作られることで、
オムツ替え=母親の仕事、
しかも母親がそれを楽しんでいる、と思われると困る」
とのこと。
夫の育児分担度に対する不満が垣間見えた。



ちなみに先日
民間企業「ヒューマ」が実施した調査によると、
離婚を切り出すのは
夫からより妻からの方が圧倒的に多い。
また、離婚のメリットについて、
男性は「無い・思いつかない」との答えが主だったが、
女性は「夫や夫の家族から開放される」
「自分の時間が増える」といった答えが上位を占めた。



この国の結婚という制度は未だに、
女性に負担を強いる部分が大きいことの表れだろう。
現在の婚活ブームと照らし合わせれば、
皮肉な結果である。
もちろんそこには、メディアからの情報が
多分に影響している。



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●メディアの結婚報道の偏りを知るには↓


      




オトナのメディア・リテラシー


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー








2009年6月13日土曜日

週刊文春に「録画率」でコメント

Photo発売中の「週刊文春」の
『THIS WEEK テレビ』記事で、
録画率についてコメントしている。



録画率とは、リアルタイムの視聴率とは異なり
番組を録画予約した人の割合を示す。





なぜいま、
この録画率が話題かというと
視聴率と録画率が大幅に違うケースが目立つからだ。
例えばSMAP中居クン主演のドラマ『婚カツ!』は
月9史上最低の視聴率一桁を記録したが、
録画予約ランキングではベスト10入りしている。
この差はなぜ起きるのか?
詳しくは記事でどうぞ。



ちなみに私も、こまめに録画を行なう方だ。
まず新聞の番組表を睨み、見たい番組にマーカーで線を引き
リモコンで録画をする。ええ、アナログです。



確実に見たい番組だけを見ることは、
「ながら見」の防止につながる。
どうでもいい番組をダラダラ見るほど無駄なことはない。
そしてここが最も大事なのだが、
録画予約というのは、視聴者が番組を「選び取る」行為だ。
その時点で、視聴者は居並ぶ番組群に評価を下すことになる。



自分はなぜその番組を見たいのか。
どんな情報を求めているのか。
それを意識することは、メディア・リテラシーを身に着ける
第一歩となるだろう。



2009年6月8日月曜日

新聞連載スタート&一橋大学で講演

西日本新聞にてコラム
『ケータイ時代の子どもたち』
の連載を始めた。



携帯を子どもたちはどう使っているのか、
どのような良い面、気がかりな面があるのか、
子どもたちの声を交え解説する。
今月6日から隔週土曜日掲載。



また、一橋大学学園祭のシンポジウムにて
講演を行なった。
テーマは『少年犯罪とメディア』。



携帯やネットの発達は
少年犯罪とどう関わっているのか?
少年犯罪の報道の問題点とは?
メディアの影響は?
といったことをお話した。



大学がある国立は
子育てファミリーが多く住むエリアらしく、
学生に混じり保護者の方々も参加されていた。



ちょうど、秋葉原での無差別殺傷事件から1年が経つ。
犯罪に携帯が果たす役割や、
携帯を使う加害者の心理について、改めて考えたい。


*携帯と子どもの関係を知るなら   








大人が知らない ネットいじめの真実


著者:渡辺 真由子



大人が知らない ネットいじめの真実





*メディアの影響について考えるなら








オトナのメディア・リテラシー


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー





2009年6月1日月曜日

「ケータイで友人ができるのか」寄稿と「リアル」講演

Photo学術誌『教育と医学』6月号
(慶應義塾大学出版会)に、
「ケータイで友人ができるのか」というテーマで
寄稿した。



子どもが友人関係を構築するにあたり、
携帯電話はどのような役割を
果たしているのか?
友情を深めるつもりが、逆に緊張や束縛に
つながっていないか?
といった点を考察したものである。



この雑誌を主宰するのは「教育と医学の会」で、
九州大学教育学部に本部を置く。現在、発売中。



また、メディア・リテラシーに関心のある教員などで構成される
「国語メディア研究会」にて、
『リアル』について講演した。



リアルとは、最近子どもたちに流行っているサイトだ。
リアルタイムで、自分が思っていることを一言ずつ書き込んでいく。
mixiやブログとは異なり、読んだ人にコメントを求めるわけではない。



私は、
メールに疲れた子どもたちの新たなコミュニケーション形態として
このリアルに注目している。
「生々しいもの」に対する子どものバリアが、
どんどん厚くなっているような気がするのだが……。



2009年5月25日月曜日

裁判員制度の怪

裁判員制度が始まった。
テレビや新聞のアンケートによると、
国民の参加意欲は低い。
「素人の自分に人を裁けるのか」
という不安が主なようだが、
そんなこと心配する必要は全然ないんですよ。
むしろラッキーだと考えて良いくらいだ。



本来、裁判官になるには
超難関の司法試験に合格せねばならない。
大学で法律を専攻し、受験対策のための専門学校に通い、
卒業後も何年もかけて勉強し、
それでも受からない人がザラにいる。
人を裁くという行為は、それだけ重いはずだからだ。



ところが国は、
あなたが何ら努力をしなくても
ポンとその権限を与えちゃおうと言うのである。
なんとオイシイ話ではないか。



専門的な知識がないのに、正しい判断が出来るか不安?
国はあなたに「正しい」判断など期待してはいない。
素人なんだから当たり前である。
感情の赴くまま、極刑を求めても良いのだ。
国がそれでも構わないと言っているのだから。



やっぱりどうしても裁判員になりたくない? そうですか。
でも断れないんですよ。
原則として、拒否すればあなたは罰せられる。



あなたは賛成した覚えなどないのに、
国は有無を言わさず「義務」を背負わせた。
テレビや新聞は、この制度をあなたに
「理解させ、受け容れさせる」ための情報を
繰り返し流している。



あの時代の日本に、似てきていませんか。































2009年5月9日土曜日

ブログ炎上とネットいじめ

トヨタの労働組合機関誌「ZONE」から
インタビューをお受けした。
テーマは「深刻化するネットいじめ」。
読者がいまの時代を生きるうえでの気付きを促し、
現代の問題を考えるきっかけを提供する
企画だという。



ネットいじめに関するインタビューは
様々なメディアから受けるが、
媒体ごとに着眼点が違う。
今回は、「ブログ炎上」とネットいじめの関連が
話題に上がった。



私は、ブログに攻撃的な書き込みが集中する現象と
ネットいじめとは、大いに関連があると考えている。
インターネットが人々から
現実社会における発言欲を奪い、
その一方で発言欲を満たさせる場となる、
皮肉な構図が発生しているのだ。
詳しくは6月10日発行の「ZONE」で。



ところで最近、
夏から秋に向けての
ネットいじめやメディア・リテラシーをテーマにした
講演依頼が相次いでいる。
既に日程がバッティングするケースも発生しており、
ご希望の方は早めにお問い合わせ頂きたい。







 



関連図書:








大人が知らない ネットいじめの真実


著者:渡辺 真由子



大人が知らない ネットいじめの真実





2009年4月21日火曜日

痴漢冤罪事件の本質

電車内での痴漢の罪に問われた男性が
14日に最高裁で逆転無罪を言い渡された事件。
多くのメディアがこのニュースを大々的に取り上げたが、
「痴漢捜査はもっと慎重にせよ」


との論調に終始するものが大半だった。
特に判決当日の『NHKニュース7』は
他のニュースより長い時間をかけ、
専門家の男性まで引っ張り出して、この主張ばかりを強調。
いかにも「マッチョメディア」的な報道であった。



だが、そもそも物証が少ない痴漢冤罪事件の本質は、
そんなところにない。
問題は、この男性の逮捕劇の陰で
ほくそ笑んでいる人物がいることである。
その人物が痴漢行為を働かなければ、
男性が被害者から誤解されることもなかったのだ。



つまり、「痴漢冤罪を防げ」と
メディアや男性団体が声高に言うのなら、
痴漢の存在そのものを無くす方向へ斬り込んでいかないと、、
根本的な解決にはつながらない。





「痴漢もの」のAVが人気を集め、
ネット上には痴漢行為の仲間を募集するサイトがあり、
「女性は触られて喜ぶ」などと
加害者の罪悪感を減らそうとする書き込みも繰り返されている。
これが、日本社会の現状だ。

痴漢に間違われるのを防ぐため、
「男性は両手でつり革や鞄、本などを持つように」
との自衛策を紹介するメディアもあったが、
より有効なのは
『女性専用車両』の導入徹底だろう。
満員電車での密着による「出来心」も防ぐことが出来る。

しかしながら
この女性専用車両、未だに導入が遅れている路線も多いのだ。
とりわけ、利用者の多いJR山手線に無いことには驚く。



メディアは、痴漢をめぐるこのような背景の改善をも
提唱すべきだった。



痴漢捜査に客観的証拠を求める世論を推進することは、
被害者に申告をためらわせ、
痴漢を喜ばせるだけである。














『マッチョメディア』的な報道とは?
         ↓








オトナのメディア・リテラシー


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー





2009年4月14日火曜日

「エコノミスト」に『携帯サイトの闇』寄稿

2009_3







本日(13日)発売の「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)に、
『親が知らない 子どもの携帯サイトの闇』を
寄稿している。

経済誌で携帯問題?と思われるかもしれないが、
子どもを持つ30代以上の男性読者から
要望の多いテーマだという。

携帯トラブルをめぐる最新事情を
3ページにわたりレポートしたので、
ご興味がある方はどうぞ。


特に「ネットいじめ」について知るなら・・・   



大人が知らない ネットいじめの真実

著者:渡辺 真由子


大人が知らない ネットいじめの真実




2009年4月8日水曜日

育児ストレス





Blog_3







6日のNHK教育テレビ「福祉ネット」で、
育児に悩む母親たちの声を取り上げていた。



「子どもが食事をボロボロこぼす」
「物を散らかした後の片づけが大変」など、
初めての育児は戸惑うことや腹立たしいことが多い。
だが、誰にも相談できずに1人で悩む母親が
増えているのだという。



旦那は帰るのが遅いし、
外出先で子どもが泣きわめけば、
「母親が付いていながら」と周囲から白い眼で見られる。
昔のように「地域全体で子どもを育てる」
という意識が薄くなっているため、
現代の母親は孤立感を深めているのだ。



「母親は、子どもが何をしても受け入れねばならない」
「母親は、慈愛と奉仕の精神に満ちていねばならない」
などの、「母親たる者かくあるべき」という世間の考えも、
子育てする女性にプレッシャーをかける。
「こんな悩みを打ち明けたら、母親失格と思われるんじゃないか」。
そう思って口を閉ざしてしまう。



これは、子育てを美化する社会の風潮にも通ずるだろう。
「育児って愛情あふれる行為で素晴らしい」というメッセージが、
ファッション誌やドラマやCMで繰り返し発信されている。
結婚を控えたカップルは
「男の子が生まれたら一緒にキャッチボールをしたい」
などと無邪気に夢を語る。
自分たちの子どもだけは
五体満足で何の障害も持たず生まれてくると、
信じ込んでいるかのようだ。



2人の子どもを産み育てた私の知人は、
赤ん坊の頭にヤカンで熱湯をかけてしまいたいと
何度も思ったという。
言葉も通じず、泣き叫ぶだけの生命体と
1日中部屋に2人きりというのは、
想像を絶するストレスに違いない。



番組に寄せられた母親たちの声で
印象的だったのは、
「夫に育児の辛さをねぎらってもらったら、
気持ちがすうっと楽になった」
というもの。



旦那さん方、帰宅して妻に
「お疲れさま」と迎えられたら、
「キミもお疲れさま」と返していますか?


写真は、新宿御苑の桜。





2009年3月30日月曜日

市民メディア本の書評とWBC

先日終わったWBC。
優勝したことで、マスコミは
「日本中が歓喜の渦に包まれた」とか騒いでいたけれども、
私はちっとも興味がなかった。
どれくらい興味がなかったかというと、
TBSの「2時っチャオ」を見ようとチャンネルを合わせて
WBCの中継が行なわれていると、
チッと舌打ちして日テレの「ミヤネ屋」へと
チャンネルを変えるくらい興味がなかったのだ。



だから、あたかも「全国民」が
WBCの行方を固唾を飲んで見守っていたとか、
優勝に大喜びしているかのような
マスコミの断定口調はとても困る。
マスコミが騒げば、「皆が見てるんだから」と
新たに見る人が出てくる。
そうやってWBCのブランドイメージが拡大再生産されていくと、
私の大好きなワイドショーが、どんどん野球中継に放送枠を
奪われてしまうではないか。



大体マスコミは、一部の人の間でしか発生していない現象を
あたかも全ての人が行なっているかのように
ひとくくりにして報じる傾向がある。
「全ての女子高生は、お小遣い欲しさに援助交際したがっている」
といった論調の週刊誌や夕方情報番組。
あなたも見たことがあるのではないだろうか。
真面目な女子高生にとってみれば、
ミニスカートを履いて街へ出るだけで
報道を真に受けたオジサンたちにいちいち声を掛けられ、
たまったものではない。



マスコミがひとくくりに報じるのは
その方が「楽」だし「わかりやすい」からだ。
だが乱暴な決め付けは、ただでさえ陰に埋もれがちな少数派の声を
かき消してしまう危険性がある。
作り手の方、「WBCに目が釘付けだった人『も多いと思います』」
ぐらいの冷静な表現に留めておきましょう。



ところで、インターネット新聞「JANJAN」に
単行本『メディア・ルネサンス』(津田正夫/魚住真司、風媒社)
の書評を寄稿した。
「市民メディア」の現状を報告し、
今後の発展の可能性を追究する本である。
「市民メディア」とは、一般市民によって制作されるメディアのこと。
興味がある方は書評をどうぞ。



      




メディア・ルネサンス―市民社会とメディア再生

 



メディア・ルネサンス―市民社会とメディア再生





2009年3月19日木曜日

「メディアの表現が子どもに与える影響」講演

「メディアの表現が子どもに与える影響
 ~情報に潜んだ真意を見抜く~」
というテーマで、
東京都板橋区男女社会参画課主催のセミナーにて
講演した。



特に、インターネットや携帯電話などの
「新しいメディア」が、
子どものジェンダー意識や性犯罪に与える影響に
着目するものだ。
ネット絡みのトラブルに巻き込まれる子どもが
後を絶たない中、
大人に何が出来るかを考える事は急務である。



講演は以下のような内容:



○子ども向けメディアに潜むジェンダー
○メディアの暴力表現、性表現の影響
○インターネットや携帯電話が形成する
  ジェンダー意識と性被害の現状
○大人に出来る対策とは?



参加した方々から多くの感想を頂いたので、
一部をご紹介しよう。

・「メディアの影響について、とても役立つ情報を得られた。自分がジェンダーに縛られていたことを知って、びっくりした」

・「身の回りの事象を取り上げ、具体的に簡潔に分析し説明してくださり、わかりやすかった」

・「情報が与える背景がわかり、自分で情報を判断していくことの重要さを知ることができた」

・「知らないうちにメディアから受ける影響は、改めて大きく怖いものだと感じました」




メディアの影響力を知る入門書はこちら↓

      






オトナのメディア・リテラシー


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー










  








2009年3月10日火曜日

新聞のネットいじめ記事にコメント

ご報告が遅れたが、
2月22日(日)付の西日本新聞が
「携帯電話と子どもの教育」をテーマに特集を組んだ。
私もコメントしている。



九州の自治体には、
町全体で小中学生の携帯所持禁止に踏み込んだところや、
PTAと警察、ネット接続業者などが連携して
携帯利用の啓発に取り組んでいるところがある。
新聞記事は、これらの動きを具体的に紹介するものだ。



ネットいじめに対処するために
「まず、大人の意識を変えよう」という私の主張も、
詳しく掲載されている。



現物を読みたい、というあなたは
西日本新聞社へ問い合わせましょう。



*このブログの更新内容を確実に届けます。
 メルマガ「メディリテ!」に登録(プライベート・コラム有り)








大人が知らない ネットいじめの真実


著者:渡辺 真由子



大人が知らない ネットいじめの真実





2009年3月4日水曜日

熊本でネットいじめ講演

「24時間逃れられないネットいじめに、
大人はどう向き合えばいいのか」とのテーマで、
熊本市にて講演を行なった。



財団法人 熊本公徳会が主催した
「社会教育に関する講演会」の一環。
現代社会が抱える諸問題について考える企画だという。



参加者は学校現場の教員の方が主で、
拙著『大人が知らない ネットいじめの真実』
多くの方にお求め頂いた。



講演内容の詳細は本日、
地元の熊本日日新聞が掲載するらしい。



ところで、帰路の飛行機内で
「焼酎のお湯割り」をオーダーしたところ、
「レモンチューハイしかございません」と言われてしまった。



仮にも九州と結ぶ便で、
しかも大手の航空会社で、焼酎が用意されてないとは……
淋しくないすか、それ。



      




大人が知らない ネットいじめの真実


著者:渡辺 真由子



大人が知らない ネットいじめの真実





2009年2月18日水曜日

「メディアに隠された意図を読み解く」講演

「メディア・リテラシーを身に付け、
メディアに隠された意図を読み解く」
というテーマで講演を行なった。
栃木市教育委員会の主催による、PTA連合会にて。



ちょうど麻生内閣が揺れに揺れているこの時期、
各メディアがどのように政治を報じているのか、
その背後にどんな意図が隠されているのかを読み解くことは、
「賢い有権者」であるために
今後ますます必要とされる能力であろう。



「情報が溢れている今日、見極めが必要と勉強になりました」
と、参加した年配男性の方から感想を頂いた。



メディアが世論を決めるこの時代、
メディア・リテラシーは教育、政治、企業経営など
あらゆる分野で役に立つ。

余談だが
栃木って都内からちょうど1時間で着くんですね。
近い近い……と思っていたら、復路は強風で新幹線に乗れず。
倍の時間をかけて帰ってきました。

さて、きょうの内容を深める本、
もうおわかりですね↓

おすすめポイント:
『客観報道は幻想である』の項参照








オトナのメディア・リテラシー


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー





2009年2月12日木曜日

「料理合コン」の魅力

「料理合コン」というのが話題を呼んでいる。
いわゆる婚活用の合コンの一種だ。
初対面の女性と男性が料理教室で2人1組になり、
料理を作る。完成したら、食事しながらワイン片手におしゃべり。



こんな形の合コンを発明した人は、素っ晴らしいですね。
いまどきの女性にとって、旦那にするなら
「料理の出来る男性」は非常にポイントが高いからだ。



女性が働いている場合、
疲れて帰宅したら旦那が温かい食事を用意して
待っていてくれれば、そりゃー嬉しい。
ロマンスグレーの上司からの誘いも断って
真っ直ぐ帰るでしょう。



女性が外で働いていない場合でも、
家事・育児は、年収換算700万前後に値するとされる
立派な「仕事」である。
週末の料理は、旦那と分担することになるでしょう。



何より、夫婦のどちらか1人しか料理が出来ないより
2人とも出来た方が、
食事内容のレパートリーが広がって
人生がもっと楽しくなるではないか。



よって、「料理は女がすればいい」と信じている男性は、

結婚市場から駆逐されていくわけですね。
『女性のハートは胃袋で掴め!』の時代である。



ところが従来、
料理が出来る男性かどうかを見極めるには
その人を自分の家に招くか、相手の家へ行かねばならなかった。
つまり、事前にある程度親しくなっておく必要があった。



しかし「料理合コン」であれば、
恋愛における面倒くさいプロセスをすっ飛ばし、
初対面にして
相手の料理の腕を知ることが出来るのである。
そもそも料理することが嫌いな男性は参加しないだろうから、
「婚活」としては効率がいい。



実際にこの手の合コンの企画サイトを見てみると、
女性の参加予約は2ヵ月先まで埋まっているのだ。
独身男性のあなたも参加してみては?
別に上手く作れなくても、
「やる気」を見せりゃいいんです。






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 「性情報リテラシー教育」新聞連載を緊急公開!



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  「貪欲に生きる!技術



 

















2009年2月6日金曜日

メディア・リテラシーの大学講義

慶応大学メディア・コミュニケーション研究所における
今学期の講義が終了した。



最終課題として、学生たちには
ミニ・ドキュメンタリーを制作してもらった。



私の講義は学期前半で、
テレビ番組・新聞報道の読み解き方や、
背後に含まれる「作り手の意図」を
教える。
その理論を体得するため、
最後は学生自身が「作り手」になるのだ。



ニュースを専門家に解説させるのは
メディアの常套手段だが、
その専門家の主張が
自分の伝えたい内容と異なる場合、どうするのか?



インタビューで拾った声は
どのように取捨選択するのか?



バラエティ番組に誇張が含まれていることは
何となく感じ取っていても、
ドキュメンタリー番組は真実を伝えていると
思っている人は多い。



学生たちは今回の制作体験後、
「ドキュメンタリーにも
作り手の意図が多分に入り込んでいることが
わかりました」
と話していた。



このように
メディア・リテラシーを理論と実践の両面から
身に付けてもらう講義は、
出張の要請にも応じている。



折りしも昨日、
ブログ炎上をめぐる一斉摘発が
行なわれたばかり。
今後は「ネット・リテラシー」も益々重要になるだろう。



■関連情報 ・「恋愛リテラシー」の大学講義
         ・慶応白熱教室
          ・慶応大学ラスト講義



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…全く余談だが、ビール腹男性の改善策を思いついた。
詳しくはメルマガ末尾のプライベート・コラムで☆



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講義で使用するテキストはこちら↓    








オトナのメディア・リテラシー


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー





2009年2月1日日曜日

緊急セミナー「ネットいじめと携帯問題」

文科省が携帯の学校持ち込み禁止を通知した30日、
福岡市で緊急セミナー「ネットいじめと携帯問題」が開かれ、
講師にお招き頂いた。
ヒューマンアカデミー福岡校が、
教員や保護者向けに主催したものだ。



福岡県内では芦屋町が今月
「脱ケータイ宣言」を行なったこともあり
参加者数は予想以上に多く、
地元の新聞社やテレビ局も取材に来ていた。



セミナーでは、
ネットいじめの具体的な手口や
対策としての応急処置法、
さらに根本解決法についてお話した。



既に拙著『大人が知らない ネットいじめの真実』
読まれた参加者の方もいて、
「実際にお話を聞けて本当に良かったです」と
サイン会で声を掛けて下さり、嬉しく思う。



なお、文科省が携帯の学校持ち込み禁止を通知した
件について、私のコメントは下記の通りである:



------------------------------------------

・ 携帯電話の持ち込みは既に多くの学校で規制されているが、子どもたちはこっそり持って来ているのが実態だ。教師の目を盗み、休み時間やトイレの中で、盗撮や誹謗中傷の書き込みを行なっている。このため、単に持ち込みを一律規制することが、ネットいじめの防止に有効だとは思えない。今回の規制明文化はむしろ、携帯の絡むトラブルが学校内で発生した場合に責任を逃れるための、国によるパフォーマンスではないか。



・ 最も重要なのは、携帯を「どう使うか」を教えることである。文字コミュニケーションの危険性への理解や、発信内容が相手に与える痛みへの想像力を育むための、ネット・リテラシー教育が求められている。そのためには、まず教師や親がネットいじめの真実を知り、「文字の暴力」が子どもに与えるダメージの大きさを認識しなければならない。





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■ネットいじめと携帯持ち込み問題を考えるなら……↓








大人が知らない ネットいじめの真実


著者:渡辺 真由子



大人が知らない ネットいじめの真実





2009年1月29日木曜日

浪人禁止令

センター試験も終わり、
本格的な受験シーズンに突入する頃だ。
最近聞く言葉は「カーナビ親」。
子どもに先回りして、進学先を
あれこれ道案内する親を指すらしい。



子どもは、親を怒らせたりガッカリさせたくないから
カーナビ親に言われるがままに受験する。
その結果、合格後は意欲がわかずウツになったり
グレたりする子が目立つという。



子どもには学力の背伸びをさせず
「身の丈力」で勝負させよ、と
私は以前の記事で述べた。
そのために「塾をなくせ」と提唱しましたよね。



今回、新たにもう一つ提案をしたい。
それは……「浪人はさせるな」。



せっかく皆が塾に行かず
「身の丈」に応じた大学へ進む環境が整っても、
浪人を許すようでは意味がない。
ワン・モア・チャンスを与えることになるからだ。



浪人させれば一年余分にカネがかかる。
この時点で、親の経済力による格差が生まれるだろう。
さらに、浪人という制度は
「もう一年頑張れば志望校に合格できる」という期待を
親に抱かせる。子どもの「身の丈力」に納得出来なくなるのだ。
もちろん子ども自身も、諦められない。



部活動に熱中し過ぎたあまり志望校に受からなかった?
良いではないか。
その子は、勉強とは別の分野に秀でているのである。
「そうは言っても、他の子たちが浪人して高偏差値大学へ
入ったら、ウチの子だけ負け組になってしまう」
との心配はごもっとも。
だから、浪人という制度自体を無くしてしまうのだ。



そのためには、以前提案したように
塾ではなく学校教育の充実が必要だ。
子ども自身にも、
「この大学に入ってあれを学びたい」といった明確な目標があるなら、
学校の勉強を頑張って成績を伸ばせばいいのである。
それでも現役合格できなければ、そりゃ「身の丈」である。



ベネッセ教育研究開発センターの調査によると、

子どもに中学受験させる保護者は、

「友人を大切に」「他人に迷惑をかけない」といった要素を

子どもに期待する割合が低いという。
ここから、どんな人間が育つのだろうか。



ちなみに上記の記事
『お金をかけずに慶応大に現役合格する術』

をテーマに本を書こうかと提案したところ、
「そんな本があるなら是非読みたい」という声を
相次いで頂いた。
やはり「身の丈力」が、
いまの時代を心穏やかに生きるためのキーワードなのであろう。