2017年4月11日火曜日

実践!「性情報リテラシー」教育

ネット等で性に関する誤った情報が氾濫する現代。
子ども達には、 メディアの性情報を鵜呑みにせず自分の頭で読み解く能力、
すなわち「性情報リテラシー」教育が必須であると、
私は常々提唱してきた。

「でも、具体的にどうやって教えればいいのか?」
そう悩んでいる方も多いに違いない。

そこで本記事では、
実際に教育現場で性情報リテラシーを扱っている例を
ご紹介しよう。

私が取材にお邪魔したのは、
埼玉県内にある児童養護施設。
幼児から高校生までが共に暮らしている。

中学生以上にもなると、
アダルトサイトを見たり、DVD付き成人雑誌を手に入れようとしたりする
子どもも出てくるという。

「学校で女子に強引に迫ろうとした男子もいて。
メディアの影響があるのではないかと心配になりました。
そんな時、『性情報リテラシー』を読んで、
これだ!と思ったんです」
と職員の方。
3年前から施設内で、高校生向けに
性情報リテラシーのワークショップを行なうようになった。

今回は初めて、中学生向けのワークショップを開くとのこと。
会場には、女子5人、
男子3人が集合した。

「恋愛について教えてほしいことはありますか?」と
施設側が事前に子ども達にアンケートをとったところ、
・「好き」って何?
・「付き合う」って何?
・どうしたら告白がうまくいく?
等、様々な答えが寄せられた。
そう、学校や家庭ではこういう事、なかなか教えてもらえないですよねえ。

「恋愛の参考にしているものは?」というアンケートでは、
ドラマやアニメや歌、漫画など、やはりメディアが大半を占める結果に。
このような子ども達の声に応えようと、いよいよワークショップ開始!

職員の方はまず、
「性情報リテラシー」を身に付ける
重要性を説明する
(各画像は拡大可)。
続いて、アニメ「ももくり」や
初音ミクの歌など、
子どもに人気のメディアを取り上げた。
やはり事前に子どもたちへ「好きなメディア」についてアンケートを行い、
把握しておいたものだ。

メディアによる恋愛の描写では、
ストーカー行為が美化されていたり、
カップルの力関係に上下が生じていたりする点を
子ども達に気付かせる。


子どもに人気の「壁ドン」についても、
実は暴力的な行為であることを伝える。

さらに、
10代の女子向け、男子向けの
ファッション雑誌や漫画を紹介。
職員の方が自ら、
『セブンティーン』や『少女コミック』などを
購入してきたのだ。


女子向けの恋愛特集には、
「モテるため」を口実に、
服やアクセサリーの購入意欲を
煽る内容もあるよ、と注意喚起。

男子向けの恋愛特集には、
強制わいせつなどの犯罪につながりかねない強引な行動をそそのかす内容も目立つことを伝え、
「相手の嫌がることはしてはいけない」と
警鐘を鳴らす。

最後にまとめとして、
「メディアを楽しむのはいいけれど、
恋愛は1人でするものではない。
自分の気持ちばかりを押し付けず、
相手がどう思うかを考えて!」
と締めくくった。
このワークショップで職員の方が
一番伝えたかったのは、
こんなメッセージだ:

“メディアの情報に流されず、
 目の前の人がどう思っているかを大事にしよう。
 逆に、 自分が嫌なことをされそうな時は、
 嫌だって言っていいんだよ”

中学生が対象なので
性に関する露骨な話は扱わず、
「恋愛」や「お互いの尊重」といった切り口から
構成しているのがポイントである。
子どもに興味を持ってもらうために、
スライドに絵を沢山入れるよう工夫もしている。

参加した子どもたちからは、
「メディアの情報は簡単に信用しない」(男子)
「マンガの胸キュン話は危険なこともあるとわかった」(女子)などの感想が。

ちなみに
こちらの施設では、性情報リテラシーのワークショップを
職員たちの間でも行っているという。
「子どもが影響されるかもしれないメディアの実態を、
大人も知っておく必要がある」との思いからだ。
「子どもに注意すべき点がわかった」などと好評のようである。

性情報リテラシー教育が実際に現場で役立っているとは、嬉しいこと。
お世話になった皆さま、ありがとうございました!


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